Gene Mapper -full build-:感想
このページはネタバレを含みます
主人公の周辺の人物たちがとても魅力的な反面、主人公像がぼやけていて、余計に没入感があったのかもしれない
黒川さんやキタムラが違和感を持ったことにも主人公はスルーだし、賢いんだろうけど周りがすごすぎて凡人に見えてしまう
黒川さん曰く「ハンサム」らしく、金田曰く「意外といい身体」らしいくらいしか外見的な特徴もなかったしなぁ 変に癖が強いと感情移入できないし、これくらい没個性な方が一人称視点の小説は読みやすいかな
気になる描写にはちゃんと意味があるのが気持ちいい
ジャパニーズ・サラリーマンのお父さんを再現している
黒川さんのキャラが好き
とても小柄で丸みのある顔や体、柔らかな声(だったと思う)、青年のようにも見える顔で年齢不詳なイメージを受けたことから実は女性とか?と思ってたけど、子供のまま成長が止まった身体を大人に整形してるとは思わなかった
林田みたいにハンサムに作ってもらえばよかったけどこの身長じゃ意味がない、と言ってたけど、黒川さんはその身長でもモテると思うよ!!
私は最後まで信じてたよ!!
完璧なジャパニーズ・サラリーマンで、どこか人間味に欠けた印象だったけど、最後の最後で林田にいたずらを仕掛けて笑い声を上げるシーンがあってそこがすごく好き そういえばサーシャに「ボク」と言われ馬鹿にされる前に「クソ女」と言っているシーンがあるんだよな
これから林田やキタムラたちと青春を謳歌とまでは言わなくても楽しく過ごしてほしい
お父さんに似せて顔と身体と声を整形したくらいL&Bを憎みながら、バーナードのことは父として慕っているような感じすらある
林田とキタムラにバーナードのビデオレターを見せたときは「息子を溺愛するお父さん」的な恥ずかしさがあったんじゃなかろうか
絶対溺愛されてるよなあれは
ビデオレターでバーナードが「実写でなきゃだめなんだ」と言うシーンから、いつも実写の黒川さんの交渉術はバーナード仕込みだってことがわかる
教会のマリア像も伏線だよなあ
味方のみんなが気持ちいいくらいいい人ばっかり
すがすがしい読後感で、読みやすいSFを求めている人には断然おすすめです!